「見通しが立てられる」ことで安心して過ごせるように

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こんにちは。放課後等デイサービス「よかったねクラブ」担当の谷川です。6月に入り、よかったねクラブ・よかったねクラブにじでは、早くも夏休みの計画が始まりました。今回はそんな話も入れながら、「見通しが立てられる」ことの大切さと、そのための工夫について書いてみたいと思います。

 

 

夏休みのカレンダーづくり

 

にじに通っている中学生のAさんには、長期休暇の前に好んでやってくれる「いつもの役割」があります。それは、皆が見るためのカレンダーを作ること。先日も、夏休みの分を作ってくれました。

 

 

2年ほど前に「カレンダー書いてみる?」と提案して以来、夏休みだけでなく、冬休み、春休みと、ほぼ毎回書いてくれます。大きな模造紙に、お出かけ先ややる事を書き込んでいくもの。今回も「書いた方がいいよね」と自分から取り組んでくれました。

 

Aさんにこの役割をお願いしてみたのは、先々のことが気になりやすい性格だったから。また、旅行好きで雑誌を見ては「ここ行きたいな」と言う姿からも、お休みの計画を立て、自分の中に収めていくことが、彼女の安心感につながるのではと感じたからです。

 

今回も去年のカレンダーをお手本にしながら「もうちょっと線を太くした方がいいかな」など細かい気遣いもし、2時間ぐらいで作ってくれました。その間、途中で投げ出すこともなく、飽きることもなく、集中して楽しそうな様子でした。

 

普段、にじへ来ていても、先のことが分からないと不安で落ち着かなくなりがちなAさん。その分、先を見通すことさえできれば、安心して自分の時間が過ごせます。カレンダーづくりは、彼女のやりたいことであり、かつクラブの皆のためにもなること。やりたいことで人に喜ばれる嬉しさを、Aさんも何となく感じながら、毎回作ってくれているのではと感じています。

 

 

「待って」は“指示”でなく“約束”のカード

 

見通しが立たないと不安になりやすいのはAさんに限ったことではなく、人間は見通しを立てたい生き物です。これまでの経験や一般論から、頭の中で何となく予測を立てながら過ごすのが普通になっている人たちと比べると、よかったねクラブに通っている子たちはそこにひと工夫や何らかの道具を必要とすることも多いです。小学生のB君もそんな1人でした。

 

 

これはある日のB君の手元。写真で見て、何かわかりますか?

ある小学校の写真、「待って」と書かれた赤い札、その間にタイマー。この3点セットをずっと持ち歩いて過ごしていました。これが彼の「見通し」、相手との約束の証なのです。

 

この3点セットは、「行きたいところに連れて行ってあげられるまで◎分くらいかかるから、待っていてね」というメッセージを示しています。言葉でのやり取りがほぼ無いB君。1年前に、小学校入学とともによかったねクラブに来たときは、伝えあえる手段が見つからずに、イライラして手が出る時もありました。

 

そこで私たちは、彼が使いやすい道具を考えました。「行きたい先」は、写真と文字で候補を並べて、そこから選べるようにする。すぐに対応できないけど、少し先にできることには「待って」という札をつける。タイマーは、待ってもらう時間をセットして、行けるようになったら音が鳴る。これを一緒に渡すことで、文字や数字が読めるわけではないですが、「ピピピッとなったら、ちゃんと行ける」という約束がなされる、そういう安心感・納得感を彼が持てればと考えたのです。

 

この形が彼の中に定着するまでは、なかなか時間もかかり、何度も繰り返しました。例えば「待って」の札は、彼が何か欲しものがある時にタイマーと一緒に渡し、タイマーを3秒ほどですぐに鳴らし、鳴ったら欲しがっていたものを渡す。これを繰り返すことで「待てばピピピッの時に必ず叶えてもらえる」という形が、彼の中に育っていきました。初めの頃はB君にポイっと捨てられてばかりだった「待って」札が、今では大事にしてもらえて嬉しい限りです。

 

少しずつ待つ時間を延ばして、最近は1時間ぐらいなら待っていられるようになりました。社会の中では「待つ」ことが必要な場面も多いので、すぐ叶わなくとも、待てば望みが叶えられるという見通しをもてるのは、暮らしの安心感につながりますよね。

 

 

学びに出掛けて現場で活かす

 

また、AさんやB君に限らず皆のために、見通せることによる安心感につながるものとしてよく使うのが、スタッフの〇×一覧です。よかったねクラブは担任制ではないので、その日その日で、それぞれの子に対応するスタッフは違います。また、同じ空間にいても違う仕事をしているスタッフは対応が難しかったりもします。そこでこれ。その時対応できるスタッフを〇の方に、できない方を×(駐車禁止のようなマーク)の方に並べます。

 

 

とても不思議なのですが、〇の人の一覧だけ見せてもだめなんです。セットで×があることが大切。また「〇〇さんは今できないよ」と言ってもうまく納得ができない子たちでも、この〇×セットを目の前に出すだとスッと理解でき、しかもちゃんと納得してくれるんですよね。「じゃあ今日はこの人にする」って。

 

どんな示し方だと彼らに入りやすいのか、というのは、私たちがずっと考え続けるテーマのひとつであり、それは経験だけではなかなか分からないもの。なのでよかったねクラブでは「学び続ける」ことを大切にしています。今回で言うと、絵カードを使った「PECS🄬(ぺクス)」の手法や、「本人が望むことかどうか・分かりやすいかどうかを大切にする」という「TEACCH(ティーチ)プログラム」の考え方がベースになっています。

 

研究も日々進化し、より良いものが出てくることもあるので、スタッフ間でも情報を提供しあい、学び合いながら、子どもたちに提供できる知識や知恵を増やしていけるよう、日々取り組んでいます。ひとりひとりの子が自分に合うやり方で見通しが立てやすくなれば安心につながり、落ち着いて暮らせる助けになるはずなので、その力になれるようにと思いながら。

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